
「歯を削ることなく白くしたい!」
そんな時に有効なのがホワイトニングです。
昔は、有名人や一部の人だけがホワイトニングをするイメージでしたが、最近は誰でも手軽にできることで認知も広まっています。
ホワイトニングを受けると、歯を削ったり、詰めたりしないでも、歯が白くなるのはどうしてなのでしょうか。
ホワイトニングをすれば歯が白くなることは、ご存知だと思いますが、その仕組みや原理について、知らない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では安心してホワイトニングができるよう、ホームホワイトニング・オフィスホワイトニング・デュアルホワイトニングの3種類のホワイトニングに分けて解説します。
Contents
歯の色は変わっていく
ホワイトニングの説明の前に「歯の色」について少し説明します。
歯の色はずっと同じではなく、少しずつ変わっていきます。
どうして歯の色は変わっていくのでしょうか。
歯の色の秘密を知るためには、まず歯の構造を理解しなければなりません。
歯は、一種類の物質でできているわけではありません。象牙質とエナメル質という2種類の物質でできています。歯の大部分を構成しているのが象牙質です。そして、その外側をエナメル質という骨より硬い物質で覆って、象牙質を保護する構造になっています。
このエナメル質は、実は透明です。表面に見えている歯の白い色は、内部の象牙質の色が透けて見えているのです。
歯の色が変わってくる理由は、大きくわけると2通り考えられます。
- エナメル質の色の変化
- 象牙質の色の変化
それぞれ説明します。
エナメル質の色の変化
歯に頑固な着色汚れを生じさせる代表は、タバコです。タバコを好んで吸う人の歯には、ニオイを発するこげ茶色の汚れがついています。
しかし、タバコを吸わない人でも、歯に着色汚れは生じます。
実は、コーヒーや紅茶、緑茶、ワインなどの飲み物、カレーやキムチなどの食べ物には、濃い色素が含まれています。
これらを食べたり飲んだりすることで、歯の表面に着色汚れがついてしまうのです。
また、口で呼吸することで、歯の表面が乾燥し、唾液が歯の汚れを洗い流せなくなることでも歯に着色してきます。
これらは歯の表面の色の変化ですので、エナメル質部分の色の変化といえます。
象牙質の色の変化
エナメル質は透明なのですが、その内部の象牙質の色は、加齢的に濃くなってくる傾向があります。そのため、歯の色も年とともに変化してきます。
また、歯のエナメル質に生じた目に見えないような非常に細かい亀裂から着色汚れの成分が入り込むことで、象牙質の色が変わってしまいます。
本来、歯の内部にあって、一見すると汚れと無縁なように思われる象牙質も、このようにして色が変化していくのです。
歯のクリーニングの限界
ホワイトニングではなく、歯をクリーニングして白くする方法もあります。しかし、これには限界があります。
クリーニングとはすなわち、エナメル質についた着色汚れは取り除く作業のことで、象牙質に対しては効果がないということです。象牙質の色の変化は解消できません。
歯の色=象牙質の色ですから、エナメル質をクリーニングした後に見えてくるのは、歯そのものの色といえます。
歯そのものがもっている色以上に、歯を白くしたい場合は、象牙質の色を白くしなければなりません。
そこで、ホワイトニングが第一の選択肢となってくるのです。
ホワイトニングの仕組み
それでは、ホワイトニングをするとどうして歯は白くなるのでしょうか。
現在のホワイトニングでは、過酸化尿素と過酸化水素という薬剤を使って歯を白くしていきます。
どちらも歯の色素を分解するという点では違いがありませんが、作用の仕方が少し異なります。
歯を内側から白くする過酸化尿素
過酸化尿素は酸化することで、過酸化水素という物質に変わっていきます。過酸化水素は、オキシドールという消毒薬でよく知られている薬剤です。
この過酸化水素は、水と酸素に分解される過程で、フリーラジカルを生み出します。このフリーラジカルが、歯に着色汚れをもたらしている有機物を分解して、無色にします。
過酸化尿素は、歯の内部に浸透していきながら、過酸化水素に変化することで、内側から歯を白くしていきます。ですから、過酸化尿素は歯に塗ってもすぐに効果を発揮することはありません。
そのかわり、内側から歯を白くしていきますので、効果が長持ちするという利点があります。
塗った表面から白くする過酸化水素
過酸化尿素の説明であったように、過酸化水素はフリーラジカルを作り出して歯を漂白します。オフィスホワイトニングでは過酸化水素を使っていますので、過酸化尿素のように酸化して過酸化水素に変化するという工程を必要としていません。
このため、過酸化水素は過酸化尿素と違って、歯に塗った表面からすぐに歯を漂白していきます。
ですから、効果が発現するのが、とても速いという利点があります。
ホワイトニングで使う薬剤の使い分け
同じホワイトニングでも、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングでは、使用する薬剤に違いがあります。
- ホームホワイトニング:過酸化尿素
- オフィスホワイトニング:過酸化水素
- デュアルホワイトニング:過酸化尿素・過酸化水素
このように、薬剤を使い分けて、歯を白くしているわけですね。
ホワイトニングの薬剤の安全性
気になるのが、ホワイトニングに使うこれらの薬剤の安全性でしょう。
結論から申し上げますと、心配する必要はありません。
過酸化尿素
過酸化尿素は、液体の状態で使用するわけではなく、粘り気のあるジェルのような状態で使用します。
この過酸化尿素は、一般のドラッグストアでも消毒薬として発売されているような薬剤なので、もともと身近な薬剤ですし、ジェル状になっているため、流れ出して、飲み込んでしまうこともないので、安全性も高いです。
過酸化水素
過酸化水素は、オキシドールという消毒薬で知られている薬剤です。
身体の中で、生成と分解を繰り返している物質でもあり、こちらもジェル状で流れにくい性状をしていますので、飲み込みにくく、安全性も高いです。
ホワイトニングの方法
次に、ホワイトニングがどのようにして行われているのかを説明します。
ホームホワイトニング
ホームホワイトニングの手順は以下です。
- マウスピースを作る
- マウスピースに薬剤を入れる
- マウスピースをはめる
- マウスピースを外してうがいする
- マウスピースを洗ってケースに保管する
ホームホワイトニングでは、歯科医院でマウスピースを作り、それを自宅で使うことでホワイトニングを行います。
マウスピース作成時に歯のクリーニングをし、歯石や歯の着色を取り除きます。また、自宅でマウスピースをはめる前にも必ず歯を磨き汚れを落とすようにします。
マウスピースをはめたら2~4時間ほどおいて、時間がきたらマウスピースを外して洗い、うがいして終了です。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングの手順は以下です。
- 歯のクリーニング
- 歯以外の部分の保護
- 薬剤の塗布
- 光をあてる
オフィスホワイトニングはホームホワイトニングと異なり全ての工程を歯科医院で行います。
ホワイトニングが効果的にできるよう歯のクリーニングをしたあとに、薬剤を塗布し光を照射します。最近ではレーザー光をあてるタイプも開発されています。
デュアルホワイトニング
デュアルホワイトニングは、ホームホワイトニングとオフィスホワイトニングの両方を行います。
すなわち、自宅でホームホワイトニングを行い、歯科医院でオフィスホワイトニングを並行して行うのです。
ホワイトニングを受けた後の注意点
ホワイトニングを受けた後の1時間程度の間は、再び着色しやすい状態になっています。
これは、ホワイトニングによって、歯の表面についているペリクルという唾液中のタンパク質の層が剥がれてしまうからです。
ペリクルが剥がれてしまうことは、ホワイトニングの仕組み上避けられません。
ペリクルが再生してくるまでの1時間程度の間に、濃い色素を含んだ食べ物や飲み物を摂取すると、せっかく白くした歯が台無しになってしまいます。
ですから、コーヒーや紅茶、カレーなど色の濃いい食べ物や飲み物は控えるようにして下さい。
もちろん、タバコも同じです。
まとめ
今回は、ホワイトニングの仕組みについて解説しました。
現在のホワイトニングでは、過酸化尿素と過酸化水素という2種類の薬剤を使い分けて行なわれています。
ホームホワイトニングは過酸化尿素、オフィスホワイトニングは過酸化水素を主に使います。
どちらも、歯の色素を分解することで歯を白くしていきますが、過酸化尿素は歯の内部から時間をかけて歯を白くし、過酸化水素は歯の表面からすぐに白くしていく点に違いがあります。
このようにして、ホワイトニングは、歯を削ることなく歯を白くしていくわけですね。