
歯の色は、通常白く輝いているものですが、いろいろな原因で変色をきたし、色が変わっていきます。
歯の色が白くなくなると、コンプレックスに感じて笑うときについ口元を隠してしまったり、人前で話すことすら憚られてしまう方もいらっしゃいます。
そこで、今回は歯の色が変色する原因やその対処法を解説します。
歯の色が変わる原因
歯はその大部分が象牙質でできており、その外側をエナメル質という骨よりも硬い物質で覆って象牙質を守る構造になっています。
実はエナメル質は透明でして、歯の色は内部の象牙質の白色が透けて見えたものです。
歯の色が変わってきた時、その原因はエナメル質と象牙質で異なります。
エナメル質の場合は、透明なのでエナメルの色が変わることはありません。表面に着色汚れがつくことが原因です。
一方、象牙質の場合は、象牙質の色が変化していくことが変色の原因です。
以下変色の原因となるものを紹介していきます。
タバコによる変色
タバコの煙には、タールという粒子状の物質が含まれています。
タバコを口にくわえて吸い込むと、このタールが歯の表面にこびりつき、歯の表面に汚らしい焦げ茶色の着色汚れを生じさせます。しかも、悪臭も発します。
なお、タールは発がん物質としても知られており、見た目だけでなく健康を損なう原因ともなります。
飲食物による変色
濃い色素が含まれる飲食物を摂取することも、歯の色を変化させる原因となります。
飲み物ですと、ワインやコーヒー、紅茶、緑茶が代表的です。
食べ物ですと、カレーライスやキムチなどが挙げられます。
歯の表面の目に見えないような細かい傷などにこうした飲食物が入り込むことが、歯の表面の着色汚れの原因となります。
クセによる変色
意外に思われるかもしれませんが、クセも歯の色を変える原因となります。代表例が、口呼吸です。
口で呼吸をすると口が開いた状態になります。すると、歯の表面が乾燥してしまいます。
お口の中を流れる唾液には、洗浄作用があり、お口の中の汚れを洗い流す働きがあります。
口呼吸をすることで、歯の表面が乾燥すると、唾液の洗浄作用が発揮されなくなり、着色汚れがつきやすくなるのです。
加齢による変色
実は、歯の色は年とともに少しずつ濃くなり、次第に黄色味を帯びていきます。
これは象牙質の色が年々変化していく、つまり加齢が原因となる色の変化です。
口腔乾燥症による変色
口腔乾燥症とは、唾液の分泌量が減少することで、お口が乾いてしまう病気です。
唾液の分泌量が減少することで、唾液の洗浄作用が得られなくなるので、着色汚れを生じさせます。
唾液の分泌量が減少する原因としては、加齢による唾液腺の機能低下や、薬剤の副作用などが挙げられます。
むし歯による変色
むし歯になると、歯の色が変化していきます。
初期の段階であれば、白い濃い斑点状の模様として現れ、次第に茶色、黒色とむし歯の進行とともに色が変化していきます。
そして、むし歯の穴が大きくなれば、歯の外形が崩壊してより大きな空洞となってしまいます。
歯並びによる変色
歯並びも歯の色に影響を及ぼす要素の一つです。歯並びが悪いと、歯磨きがしにくくなります。
そのため、磨きにくい箇所で着色汚れがつきやすくなったり、むし歯が生じたりします。
一見、歯の色とは関係なさそうな歯並びも無視できないのです。
歯の色のコンプレックスの解消法
では、歯の色が変わってコンプレックスを感じてきた時、どうすれば色の変化を改善し、コンプレックスを解消できるのでしょうか。
解消法を歯科医院でのケアと自宅でのケアに分けて解説します。
歯科医院でのケア
歯の色の変化を理由として歯科医院を受診すると、歯科医師が変化の原因を診断し、適切な治療法を選択して処置を進めていきます。
PMTCによる解消法
PMTCとは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略で、歯科医療者による専用の器械を使った歯のクリーニングという意味の言葉です。
日本語では機械的歯面清掃と訳されます。
歯の表面についた着色汚れをきれいに取り除くのが目的です。
一見すると電動歯ブラシのような器械を使っているのですが、電動歯ブラシでは取りきれない着色汚れも、専用の研磨剤との組み合わせできれいに取り除き、ツルツルの状態にします。
エアフローを使った解消法
エアフローとは、とても細かい炭酸水素ナトリウムなどの粉末を、歯の表面に噴射して歯の表面の汚れを取り除く処置のことです。
強力な水流で粉末を噴射することで、PMTCでは届かないような歯と歯の隙間や、細かいところまできれいに着色汚れを取り除きます。
ホワイトニングによる解消法
ホワイトニングとは、歯を漂白して白くする処置です。
前述のPMTCでは、歯の着色汚れを取り除き、歯の本来の色を出します。ですので、象牙質の色の変化には全く効果がありません。
そこでホワイトニングを行うと、ホワイトニングの薬剤が歯の内部に染み込んでいき、歯を内側から漂白して白くしてくれます。
歯のマニキュアでの解消法
歯のマニキュアとは、爪につけるマニキュアのように、歯の表面にコンポジットレジンという白い色をしたプラスチックを貼り付けて、歯の色を調整する方法です。
歯の上から貼り付けるので、1日で完了します。
歯を削ることなく、しかもホワイトニングのように時間がかかることもないのが利点です。
その一方、貼り付けているだけなので、ある程度日にちが経てば、剥がれて取れてしまうという欠点もあります。
ただし、この欠点は、色具合に納得いかない場合に簡単にやり直せるということでもありますので、利点と考えられなくもありません。
歯科治療による解消法
むし歯が原因で歯の色が変色したきた場合は、歯科治療でむし歯を治すことが第一選択となります。
小さなむし歯であれば、コンポジットレジンの詰め物でその日のうちに治せますが、さらに大きなむし歯ですと、そうはいかず、神経を取り除いて被せたりする治療が必要となります。
保険診療でも、一部に限られますが、白色の被せものを装着できる場合がありますが、より美しい被せものを望む場合は、自費診療のセラミックの被せ物になります。
矯正歯科治療による解消法
歯並びが悪いために、磨きにくく歯に着色を起こしやすい場合は、矯正歯科治療も考慮するといいでしょう。
歯の着色汚れの解消のために、矯正歯科治療をするのではありませんが、歯並びを良くすることで結果的に歯みがきをしやすい状態にできますので、着色汚れがつきにくくなる効果が得られます。
セルフケアでの解消法
歯科医院ではなく、自宅で歯の色をよくする方法を紹介します。
歯みがき剤で歯の変色を解消しよう
今や、ドラッグストアーなどではいろいろな種類の歯みがき剤が発売されています。
その中には、ホワイトニング効果のある歯みがき剤もあります。
毎食後の歯みがきのときに、こうした歯みがき剤を使うことで、歯の着色汚れを取り除くのです。
ホワイトニング用の歯みがき剤は、一般に高価ですが、歯科医院に通院する手間がかからないという利点があります。
ただし、歯科医院で行うPMTCなどと比べると効果は劣ってしまいます。
重曹を使った汚れ取りで歯の変色をなおそう
重曹とは、炭酸水素ナトリウムのことで、クレンザーにも使われている研磨剤として知られています。
炭酸水素ナトリウムは、エアフローにも使われており、自然界にも普通に存在している物質です。
ですから、健康被害を与えるような物質ではありません。
クレンザーに使われているほど、研磨力が高いのが特徴なのですが、使いすぎると歯の表面を削りすぎてしまう恐れがあるのが難点です。
その他の解消法
口呼吸の原因が、鼻づまりなどの耳鼻科的な病気によるものである場合は、まず耳鼻科で鼻の治療を受けることが必要です。
口呼吸が改善しただけでは着色汚れは取り除けませんが、口呼吸から鼻呼吸に治すことができれば、着色汚れもつきにくくなる効果が期待できます。
まとめ
歯の色が変化する原因、そしてその対処法について紹介しました。
今回紹介した方法を使って、歯の色が変化したことによるコンプレックスをぜひ解消してください。